道内各地の水道インフラを支える北海道機販の公共SE

私達の命と生活を支える公共インフラ。北海道機販は「人と自然の調和を目指す」を企業理念とし、ライフラインを整備して人々の暮らしを守るという使命がある。
その使命を現場で担うのが「北海道機販 営業統括部 SE部の公共SE」だ。《 SE=Systems Engineer(システムエンジニア)の略 》
今回は北海道の公共インフラの中で、道内各地の“水道施設”の安全と安心を支える公共SEの「設備設計・施工管理・保全の匠」水田貴光の仕事をご紹介。

営業統括部 SE部 副部長 水田貴光

北海道機販では、主に市町村や北海道開発局向けに「計装機器」「制御システム」「産業機械」などを納入している。


単に機器やシステムの納入だけでなく、設備の設計から施工管理、保全(メンテナンス)までトータルで請負い、道内各地の自治体において水道インフラの一端を支えている。
 
 

道内各地の水道施設を支える北海道機販

道内各地の水の安全と安心を守る使命

私達が普段使っている水道の水はどこから来るのだろうか?
水道水の元になる場所の事を水源という。水源の水は、地上に降り注いだ雨や雪が地下に浸透して集まり、河川や湖沼、地下水となりダムなどにも貯水される。この原水は「取水施設」から「浄水場」へ送られ、浄化・消毒されて綺麗な上水となり「配水池」に送られる、ここから地域住民の各家庭や工場などの水道利用者へと配水される。
 
 

この「取水施設」「浄水場施設」「配水池施設」に設置される「計装機器」「制御システム」「産業機械」などの提案・設計から施工管理と保全(メンテナンス)を北海道機販の公共SEが担当している。

北海道機販 公共SEが設計・施工管理・保全(メンテナンス)をしているポンプ場

施設に入ってくる水や出て行く水の量、水を送り出すポンプの運転などは自動運転で制御されており、消毒に使われる塩素の量などもその時の水質に合わせて適切に添加されるように自動制御が行われている。またその設備の稼働状況は常に遠隔でリアルタイムで監視されている。
地域住民の水道利用者が安心して水道を利用できるのは、この仕組みのおかげだ。

地域の水を安定供給する事が北海道機販の使命

24時間365日「水」をお届けするために

地域の水道施設は広範囲に及ぶが、施設の稼働状態を遠隔監視する仕組みが「テレメーター」だ。

役場に設置されたテレメーターで24時間365日「水」の安全を監視

このテレメーターによって、役場などの中央管理拠点に設備の稼働状況が伝送され常時監視している。
これにより広大なエリアに点在している水道施設の管理の手間が大幅に軽減できると同時に、設備の運転状態や水質データなどの記録も行われている。どこかで異常な状態が発生しても段階的に警報が出るため迅速な対応が可能となるのだ。
北海道機販ではこのようなシステムを道内各地の自治体に納入しており、保守業務も請け負っている。

現場一筋の“匠”水田

これらの施設やシステムの提案・設計、施工を担当しているのが、北海道機販 公共SEの“匠”水田だ。
1995年に北海道機販入社以来、公共事業の設計、施工の“現場一筋”で仕事に取り組んできた。

「何に対しても“こだわり”は強い方だと思います。
あと負けず嫌いで、スポーツなども常に一等賞を目指していましたね。」

そんな水田が北海道機販に入社後に配属されたのは、公共施設の設計や施工を担当するSE部だった。学校でCADは習っておらず、図面の引き方などはすべて現場に出ながら覚えていったという。

事務所で図面(CAD)と向き合う水田

「基本的には0スタートです。学校は一応理系ですが、実務はすべて“現場”で覚えました。
図面の引き方だけでなく、施工のノウハウも会社の先輩だけでなく、メーカーさんやパートナー会社さんに協力してもらいながら、現場で経験を積む中でひとつひとつ覚えていきました。」

常に120点を目指す

水田の仕事へのこだわり、それは“常に120点を目指す”事だという。

「目標を120点にして、結果が100点だったら良いですよね。でも実際は100点満点なんてほとんど取れません。ですから、常に目標を高く設定し、結果100点を取るような、そういう意識で仕事に取り組んでいます。
納期を含め、より良いものを目指したい。そうしないと、お客さんに迷惑がかかってしまいますし、それがひいては地域住民の皆さんに迷惑がかかる事に繋がってしまいますから。」

120点を目指し常に高い意識の水田の仕事は実に“丁寧で緻密”だ

生活インフラは、生活の中で100%完璧に機能する事が求められる。“動いていて当たり前”のため、求められる品質も当然高くなる。水田のこうした高い意識は、入社以来公共事業の現場に携わり続けた経験から培われたものだ。

いつ、何が起きても対応できるよう、水田の車には常に様々な道具が積まれている

「北海道機販の看板を背負って、社長の代わりに現場に来ているという自負があります。看板を背負ってもし何かあれば、会社にいる面々にも迷惑がかかってしまいますから、自然と身が引き締まりますよね。」

災害対応というミッション

そんな高い意識を持つ水田でも、どうにもならないのが“自然災害”である。生活インフラにとって自然災害は“天敵”ともいえる存在だ。
特に、浄水場や配水池においては「雷」が多いという。落雷によりどこかの設備が被災すると水道から水が出なくなってしまうケースもある。

「落雷などで被害が出たときは、ただちに連絡が来る仕組みになっています。連絡が来たら、すぐにパートナー会社さんに水平展開して現場へ向かいます。
北海道機販は札幌に本社があるため、どんなに急いでも車での移動に4~5時間かかる地域もあります。その場合は、まず地元のパートナー会社さんに連絡をして、一次対応をお願いしています。
もちろん自分もその間に現場へ駆けつけます。」

水道施設の工事はメーカーやパートナー会社と連携して昼夜を問わず行われる

水が止まるという事は、「水が飲めない」「洗面や入浴ができない」「トイレを使う事ができない」「調理ができない」など、生命や衛生に関する深刻な問題やストレスの助長に繋がってしまう。だからこそ地域住民の生活を守るため、水田は出来るだけ迅速に現場へ駆けつけるのだ。

「地域住民の皆様に不便はかけられないので、スピードはとても大事にしています。当社は札幌が拠点のため、行くだけで時間がかかる場所も多いです。その時間のギャップをパートナー会社さんと二人三脚で埋める事で、“水”という必要不可欠なインフラを安心して使ってもらえるようにしています。」

機器メーカー、パートナー会社との絆

現場で作業をするうえで、機器メーカーやパートナー会社との関係性は特に重要だという。

「基本的に、施工や保守業務を受注したら、直ぐにメーカーさんとパートナー会社さんに連絡します。その後、着工書類を作り工事の日程を決めます。
自分でできるところは後から何とでもなるので、人が関わる所が最優先です。
工程管理(作業工程の設計)は色々な要素が重なるため、パズルを組み立てるようなものになります。
ひとつ歯車が狂ったら全部破綻してしまう。極端な話、準備の善し悪しで仕事の“質”の9割は決まってしまいます。
でも、そこがしっかりできていれば、現場での作業がとてもスムーズになる。
メーカーさん、パートナー会社さんからの信頼に繋がり、以降の仕事もやりやすくなるので、毎回事前準備には力を入れています。」

水田とメーカー、パートナー会社との連携は実にスムーズだ

特に、ポンプや流量計などの交換作業は一時的に地域の水を止める(断水)する必要があるため、限られた時間の中で出来るだけ短時間で作業を行う必要がある。
水を止める(断水)=水道を利用する地域住民の皆さんに不便をかける事であり、現場で間違える事は断水時間を長引かせることになるため決して許されない、真剣勝負だ。だからこそ、メーカー、パートナー会社との緊密な連携が必須なのだ。

その際に大事なのは、普段からのコミュニケーションだ。

「人対人ですから、連絡もメールした後に必ず電話をして、さらに直接会って綿密な打ち合わせをします。“フェイストゥフェイス”がとても大
なぜ大切かというと、コミュニケーション不足が“事故の原因”になるからです。我々が作り、守っているのは水道を利用する地域住民の重要な生活インフラですから、人身事故は当然ですが設備の事故も絶対に許されません。
だからこそ、コミュニケーションは本当に大切にしています。」

Google Mapに載る仕事

この仕事のやりがいは、自分が担当した施設や設備が生活インフラとなって動き続ける事だと水田は胸を張る。

「Google Mapに載る仕事です。さすがに建物の中までは出てきませんけどね(笑)。
自分が若い頃に担当した設備が今でも現役で動いてくれています。後年、メンテナンスの際にその設備を見て『あの時、ここはこうすれば良かった』と思う事もあります。経験が浅い頃には見えなかった事も、今見る事で次の設計に活かせます。」

水田にとって自分が設計・施工を担当した設備は、自分が生きた証、成長の証なのだ。

水田が魂を込めて作り上げた浄水場設備や計測設備

「机上の図面ではどうとでも描けます。
しかし、実際の現場では工具が届かなくて施工が困難だったとか、現場でしか分からない事が多々あります。その気付きを活かし、工夫してより良く、より使いやすく、より見やすくしていきます。そうして完成したものを見ると『あぁ、今回は良かったな』と成長を感じられます。それがやりがい、モチベーションです。
この仕事はとても奥が深いので、完成形は遠く、まだまだ道半ばだと思っています。生きている限り成長したいので、常に勉強の日々です。」

“匠”水田が設計・施工した設備は、どれも美しさを感じさせる“極みの逸品”だ

この先も、ずっと地域住民の生活を支え続ける

そんな水田の強みは“自分一人では全部できない事を知っている”事だという。

「人を知る前に己(おのれ)を知れ」

水田が肝に銘じている言葉だ。
人は必ず周囲の人との関わり合いのなかで生きている。
意図せず『助けてもらわなければならない』というタイミングが必ず起きる。

「人を知る前に己(おのれ)を知れ」と語る水田

「“迷惑をかけてしまっている自分”を素直に受け入れ、『この人が困ったときには助けてあげよう』と思ってもらえるかが大事だと思います。
我々が支えているのは水道という生活インフラです。この仕事には使命感しかありませんが、“個”の力だけでは絶対に成しえない仕事です。
地域の水道を支えるのは自治体であり、メーカーであり、地元のパートナー会社と北海道機販、最後は水道を利用する地域住民の皆さんのご理解があってこそだと思っています。」

地域の水道を支える使命を胸に、“設備設計・施工管理・保全の匠”水田の挑戦はまだまだ続いていく。